2008年12月20日

神に近づく!

神様王国遠山郷の霜月祭
南信濃地区で8社。上村地区で4社の合わせて12の神社で日程をずらしながら、一ヶ月近く行われる霜月祭。
その由来や歴史・内容については、程野地区にある「山村ふるさと保存館ねぎや」にある、「信州上村霜月祭」(昭和46年初版/1冊300円)の小冊子に詳しく書かれています。
神に近づく!


まず、下栗の「拾五社大明神」を見学。2基の竃の周りを烏帽子を被り、白装束に身を包んだ氏子たちが、剣や鈴を持って唄ったり、呪文のようなものを唱えながら踊っていた。
朝の8時から翌朝の5時ごろまで、さまざまな神事とともに、神聖な舞が奉納される。
私たちは天王の湯と言う舞を見学させていただいた。
途中、周りの見物人から「雲までのぼぉ~れっ!」と言う、リズミカルな合いの手が入るのが、高地の下栗らしく気分が良い。

夕食後は和田の「諏訪神社」を見学。
別室で、神主さん(禰宜(ねぎ)様と呼ばれていた)から、祭りについての、見どころや歴史など簡単なレクチャーを受ける。
御神酒と美味しいけんちん汁のおもてなしまで、受けてしまい恐縮するばかりです。
神に近づく!


霜月祭と言えば、各神社に伝わる面をつけての湯立て神楽がメインイベントで、煮えたぎった湯を素手で切りながら、周りの見物人にかける湯きりが有名です。
この湯を浴びることで、一年間の邪悪を祓い、新たな気持ちで新年を迎えると言うことに尽きるらしい。
神に近づく!


太鼓が鳴り響く中、大勢の氏子が竃の周りで、日本中の300以上の神社の八百万の神々の名前を読み上げ、呼び寄せる儀式が続く。
神社の屋根の煙だしを目印に、日本中の神さまが大集合するらしい。
そして、面をつけた氏子がそれぞれの神になりきって、竃の周りを身体を前後に大きくそらしながら、余裕のある者は、見物人に面を見せながら3回ほど周る。
子どもだって神さまになります。
神に近づく!


湯きりをするのは、限られた面をつけた者だが、どの面の神さまが湯きりをするか、地元の人は分かっていて、「しっかりやれよぉ~!」とか「もっと、もっとやれぇ~!」などのかけ声が飛び交う。
演者も心得たもので、掛け声に惑わされることなく、湯きりのそぶりを見せたり、仁王立ちになったりと、フェイントをかける。
こうしたやり取りと言うか、かけ引きが見ていてとても面白く、気分を高揚させる。
しかし、なんと言ってもこの場の主導権を握っているのは、やはり神さま。
そして、飯田市長さんも神さまになります。
神に近づく!


みんな、御神酒もたっぷり入っているし、お腹に響く太鼓の音で、神社全体が神に護られたような神聖な雰囲気に酔ってしまう。
宮崎アニメの「千と千尋の神隠し」の、ヒントになったと言うことだが、それも大いに頷けます。
最後の湯切りをする「秋葉さま」暴れん坊な神さまです。
神に近づく!


過酷な自然と向かい合いながら、質素で素朴な暮らしを営んできた地域だけに、神々を畏れ、神々に感謝することで、一日一日、一年一年を大切に、身の丈にあった暮らしをして生きてきたと思う。
村上龍は「昔はよかったは大うそです!」と言うが、日本の原風景と言われる所以だと思った。
最後には大根に酒かすをまぶした物を捧げ、もうご馳走はありませんよと、神さまにお引取り願うとか…
神に近づく!


程野の正八幡宮の竃は、また違った形をしていました。
神に近づく!




Posted by mahora at 17:05│Comments(2)
 

この記事へのコメント

いまごろ 証文の出し遅れですが。

はじめまして。
この奇祭、有名ですね。行ってみたいのです。
私も3年ほど前に、夫と出かけたのですが、雪に阻まれてUターンせざるをえませんでした。松本は雪がなくて出発したのですがね。
高速で飯田まで辿りつけずに(泣)
Posted by うたかた夫人 at 2009年01月17日 19:03
うたかた夫人さん、コメントありがとうございます。
雪に阻まれたとの事…
きっと神さまがスリップ事故から守ってくれたんですよ。
祭りの日程は、前もって発表されるので、早めの時期に見学する事を勧めます。
それから、どの神社でも些少なりともご祝儀を奉納します。
重要無形文化財と言えども、小さな集落での祭りの維持は、財政的にも大変みたいです。
Posted by mahoramahora at 2009年01月18日 17:01
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