2007年11月30日

トラの巻

郵便局の近くにある和菓子屋・増田屋トラの巻icon28
つぶ餡をスポンジケーキで包み、表面にしま模様の焼き色を入れた、餡子ロールケーキです。

シンプルだけど餡もスポンジもしっとりとして美味しいです。
3センチ幅にカットし、ラッピングして一つ100円也。face01

たま~に、反対の左巻き方向にラッピングしたものがある。
これに当った人は、強運な人だと言われております。face05  


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2007年11月27日

まわりまわって…

face08あぁ! 月末はあらゆるものに追われてしまうううっ~!

今年の流行語大賞は、ミンチ偽装(偽装食肉)だろうか?
今日もマクドナルドであったらしい(偽装と言えるかどうかは別にして…)

偽装発覚はその殆んどが内部告発らしい。
告発者の権利と安全が保護されたことも大きな要因だろうけど、一番はやはり、パートや派遣・契約社員などの、いわゆる非正規雇用者が増えたことです。

正社員と同等か、またはそれ以上の能力を持ち、責任ある仕事をしていても、給与・待遇の面で相当の格差がある以上、かつてのような愛社精神を期待するのは、無理な話しです。
だから、つもり積もった不満と不信が、ある日突然、内部告発と言う形で表に出る。

労働力調整と人件費削減で、企業業績には大きく貢献する派遣・契約社員制度だけど、こうした形でしっぺ返しを受ける。
皮肉なものです。

そう! 世の中、良いことも悪いことも、すべてまわりまわってやがてに自分自身に戻ってくるのです。
シンプルだけど、ゆるぎない真理です。
  


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2007年11月26日

菊の御紋の威力

所用で木曽へ行き、時間があったので奈良井宿の宿場町を散策した。

たなかや」と言う食事処があるが、ここは秋篠宮様が独身時代に、木曽を訪れた時に立ち寄った所として有名です。
店の奥にその時の写真が、御真影(これも死語)のように飾ってある。

ココアを飲んだけど牛乳が多すぎて、コクと甘味が物足りなかった…
でも、客はそこそこ入っていて、菊の御紋の威力はサスガです。

巷で話題の東京ミシュランも、選考基準がおかしいとか、アレコレにぎやかです。
気にする必要はないけど、無視もできないと言う、何とももどかしい存在か…

私としては「誰にも教えたくない美味い店」と言うような、ハナから矛盾して、開き直る本の方が好きっ!  


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2007年11月22日

一括りにすなっ!

毎日新聞に下流社会の著者・三浦展が、現代の15~22才を「ジェネレーションZ」と名づけ、その特徴について報告している記事が載っていた。

このZ世代は、バブル崩壊期に誕生し、小学生のころから携帯電話携帯音楽プレーヤーを使ってきた世代だそうだ。
そうです! 完全バーチャルデジタル世代なんです。

キーワードは「ケイタイ格差」「キャバクラ自由主義」「よさこいナショナリズム」「バーチャル・スピリチャリズム」の4つだそうだ。

私が注目したのはケイタイ格差。
PC回答者と携帯回答者の回答を比べると、生活水準を「上流」と答えた人は、PC回答者の方が携帯回答者より10ポイント以上も多い。
そして、携帯回答者には「勉強嫌い」が多いが、PC回答者よりも「今後の生活に対する希望」を持っていることが分かった。

結果にやや強引な面もあるけど、確かにこの世代でPCを使いこなす人と、ケイタイオンリーの人の差は実感する。
テキストだけのケータイ小説は別にして、ケイタイはどちらかと言うと受身かなぁ…

そこへいくとPCは、基本のOffice系はもちろん、グラフィックス映像・音楽編集・CADなどの、ソフトによってはかなり高度で、幅広く応用できる。
頭が軟らかく、クリエイティブな感性が洗練されている若い頃から、こうしたソフトに馴染むのと縁遠いのとでは、 その差は大きいような気がする。

ただ、注意したいのは、こうした学者の調査は、あくまでも参考程度にとどめ置くことです。

何でもそうだけど、こうして一つの世代塊りで括り、理解したような気分になるのはとっても怖い!

十人十色、人はみな、それぞれ異なる!
何でもかんでも一括りにすなっ! と言うことです。  


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2007年11月21日

寒波到来!

隣りのガソリンスタンドで給油したら、リッター154円! だった。face08
カードのポイント還元があるので、実質的には150円ぐらいになるけど、それにしても…face07

灯油も宅配で90円
生協なので今後の交渉次第では下がる? わけないかっ!face09

原油の大量消費国で、しかも消費することでしか経済成長しない国なので、原油が一滴も入ってこなくなったら……
想像しただけでも恐ろしいけど、一度、そんな状況、見てみたい気もする…

そう! もう、やけくそですっ!face10

写真は五島慶太記念公園の、隣家で咲いていた桜の花
わずか10日前には、こんなに光景が見られたのに、急に寒くなってしまった。icon04  


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2007年11月20日

クリスマスだ、ワン!

近所の電気屋さんの前を通ったら、「ワン!ワン!ワン!」と犬の鳴き声が……?
振り向いたら、店先に可愛らしいぬいぐるみのワンちゃんが…
しかもサンタクロースのクリスマスヴァージョンの装いで、道行く人の足を止めている。

さすがナショナルショップです。
人感センサー機能で、店先を通る人を、鳴き声だけで立ち止まらせている。

久しぶりに電気屋さんのご主人と話しをした。
近くに売地が出たけど、地盤沈下の激しい旧市街地で、坪15万は高いよねぇ…と言ったら、
姪御さんが中古住宅を探しているから、いい出物があったら紹介して欲しいと、頼まれた。
やっぱ、歩いてみるもんです!  


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2007年11月19日

羅漢さんが揃ったら…

青木村の大法寺へ向かう参道沿いに、数体の羅漢像が祀られている。

羅漢とは、仏教の修行を積み、悟りの境地に達した、尊敬や施しを受けるに相応しい聖者のことです。
人間の喜怒哀楽を表現した豊かな表情で、一つ一つの羅漢様を見ていると、話しかけてきそうで、いつまでも飽きない。

3月に川越の喜多院へ行ったが、ここにも有名な五百羅漢がある。
川越シルバーセンターの、ガイドさんが説明してくれたけど、夜中に羅漢様の頭を撫でてみると、一つだけ温かい羅漢様がある。
それは亡くなった親の顔に似ていると言う、言い伝えがあるとか…

そう言えば、子どものころの遥か昔
羅漢さんが揃うたら回そうじゃないか! ヨイヤサノ、ヨイヤサッ! ヨイヤサノ、ヨイヤサッ!
と歌いながら手遊びをした覚えがあるなぁ…

大法寺の階段下に、地元のおじいちゃんがポツンと立って、畑で獲れた豆や野菜を売っていた。
値段に比べて品質が今ひとつのうえ、要らない! と言っても、とてもしつこく勧めてくる。
大分お歳とお見受けしたが、羅漢様の境地には程遠いですぞっ!  


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2007年11月17日

ロケ地の小学校

東昌寺を下りた浦野宿に、高札場がある。

高札場とは、室町時代から明治初頭にかけ、往来や村の中心地などの目立つ所に、お上からのお触れを掲示した場所のこと。
現代版、公報・官報と言ったところか…

高札には
盗んではいけない」「火付けをしてはならない」「争いをしてはいけない
などと言った、日常生活に関わる、事細かなことまでを「お触れ」として、箇条書きにしてヒノキに墨書きして掲げていた。
中央に権力が集中していた時代のことだから、この高札には想像以上に絶対的効果があったはずだ。

民主化の現代、こんなことをしようものなら、個人の思想信条と自由に、国家権力が関わる一大事として大騒ぎになる。

ただ、今の世も窃盗・放火はあるし、人々の争いは絶えず、殺人事件も多発している。
膨大な時が流れ、時代が変わっても、人間の本質は何も変わっていないと言うことか…

近くにある浦里小学校は、昔ながらの木造校舎で(耐震補強工事で外壁は現代風)、映画「ひめゆりの塔」や「リング」などのロケに使用されたと、教えてもらった。  


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2007年11月16日

西行法師も一休み

比蘭樹と書いて、ビランジュと読む。
別所ウォーキングの時、まほろばのSさんが説明してくれた。

別所温泉駅を八木沢方面へ少し下った所に、バス停・比蘭樹がある。
なんともハイカラで素敵な名前です。

民話の語りもやっているSさんによれば、

昔、西行法師が塩田平にやって来て、この木の下で一休みしてから、別所温泉に向かったと言われている。
但し、まほろばのすぐ下に、西行の戻り橋と言って、地元の子どもと西行が掛け合いをしたと言われる橋(ごくごく普通の小さな橋)があり、西行法師は温泉に入らずに帰ったことになっている。

バス停から無言館・前山寺方面へ向かった角の家に、この比蘭樹と伝えられている木がある。
だいぶ葉が落ちてしまっていたけど、遥か昔、西行法師はこの木の下で、なにを想ったのだろうか…  


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2007年11月15日

しゃべれども しゃべれども

一昨日の例会は、平山秀幸監督の「しゃべれども しゃべれども」だった。

スゴイ美人なのに、無愛想で口下手ゆえに男にフラれた女。
勝気でクラスになじめない、大阪からの小学転校生。
毒舌でいかつい面構えの元プロ野球選手、そして時々、解説者の中年男。

この三人のしゃべりへのコンプレックスを、しゃべりのプロである落語家が、落語を通して人への関わりや、自分の想いを伝えることの尊さに気づかせていくと言うストーリー。

ただ、主人公の落語家もこれだっ! と言う自分のカラーを打ち出せず悩み続け、しかも想いを寄せた人にフラれたりと、どん底の精神状態にある。

こうしたワケありの人間が、それぞれのプライドをかけて絡み合いながら、しだいに心を通わせていく。
どこにでもいそうなごく普通の、日常の中に存在する人たちで、決して特別な人たちを描いているのではない。
ハラハラドキドキはなく、じんわりほのぼのが少々の、安心して観ていられる映画だった。

プレスには「現代を生きる人間たちに欠如しがちなテーマ=人と人とのコミュニケーションの大切さ」とあった。
ウーン! 正直、ここでも出たかっ! コミュニケーション能力! って感じです。

確かに現代は、対人関係の希薄さからトラブルも多く、悩み多き時代です。

だから、もっと人と関わり、話し合い、思いを伝え、心を通わせよう!
そのためには、コミュニケーション能力は重要なんですよ!
必要不可欠なヒューマンスキルなんですよ!

分かるけど、この手のステレオタイプは、少々ウンザリです。
コミュニケーション能力で、人生すべてバラ色的な発想には疑問です!  


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2007年11月14日

シベリア鎮魂歌

昨夜のTV東京「開運!なんでも鑑定団」で、画家の香月泰男の絵が出ていた。

この戦後最大の画家・香月泰男のことを知ったのは、3年前に出版された、立花隆の「シベリア鎮魂歌・香月泰男の世界」(文芸春秋)を読んでからだ。

シベリア抑留体験のある香月は、63歳の死ぬ間際まで、57点のシベリアシリーズと言われる大作を描き続ける。

極寒の地で過酷な労働に耐え、ひたすら母国への帰郷を夢見ながら、果せることのできなかった戦友たちへの鎮魂と、生き残った自身への問いかけを一生続けた人だ。

出身地の山口県立美術館が、このシベリアシリーズを所蔵し、数点ずつ常設展示している。

やはり3年前に山口を訪れた時、美術館に行ったけど、改築工事の準備で見ることができずとても残念だった。

美術館のホームページにはそんなことは一言も書いてなかったので、山口市の観光課へ抗議のメールを送ったら、
「わざわざ長野から来ていただいたのに、本当に申し訳ありませんでした」と、陳謝のメールが送られてきたので、よく覚えている。  


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2007年11月13日

生徒さんやぁ~い!

予約注文しておいた巨峰のブラッシュワインが入荷したと、近所の酒屋さんから連絡あった。

以前にも書いたけど、ここのご主人は刻字作家の大家である。
12月から駅前の生涯学習センターで、刻字の講座を始めることになったけど、生徒さんが規定の人数集まらないと、講座が開けないらしい。

だれか、刻字に興味のある人がいたら、是非、紹介して欲しい…と頼まれた。
ウーン! 時間的余裕と、もう少し書が上手ならば、私がやってみたいところだが…

それにしても自宅にアトリエを新築したり、歳を重ねても、枯れることのない創作意欲には、ただただ脱帽です。  


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2007年11月12日

絶滅危惧種って?

土日と県ユースホステル主催の信州の鎌倉塩田平ウォーキングに参加した。
土曜日の無言館・前山寺は以前に歩いたので、今回は日曜日の安楽寺・殿戸峠・大法寺・東昌寺のコースを歩いてみた。

時々雨に降られる生憎の天気だったけど、紅葉はどこも素晴らしく、霧雨に煙る山肌のモミジも、また趣のあるものだった。

殿戸峠(別所峠)を青木村に下った所に、あの東急電鉄創業者・五島慶太の生家がある。
今は住む人もなく、朽ち果てた感じの廃屋となっているが、隣り家の人が管理しているらしい。

五島慶太については、強盗慶太と揶揄されるほど、その強引な経営手腕でやり手の印象だが、経済界においては、功成り名を残した人物で、郷土が誇れる人物の一人であることには違いない。

貧しくも常に向学心を絶やさず、高下駄を履いて峠道を何里も歩いて、松本の学校まで通ったなどの武勇伝も残っている…と、まほろばYHのSさんが話してくれた。

凡人であったならば、この類の話もアホの無鉄砲で終わるところが、おらが村の大先生ともなれば、偉人伝となって後世へ語り継がれていく。
国道143号線の近くには、五島の業績を讃える、立派に整備された顕彰公園が作られていた。

土曜の夕食後のミーティングでは、みんなで持ち寄った手作りの品々で、楽しいひと時を過ごした。

今の若者、特に大学生はユースを使っての一人旅をする者がなく、一体全体、今どきの若い連中は、休日には何をして過ごしているんだぁ? と、みんなから嘆きの声が聞かれた。

以前朝日新聞に、絶滅危惧種の一つとしてユースホステルが載っていて、若者の中にはユースってなに? とその存在すら知らない者がいるんだっ! と、Sさんの嘆きのボルテージが上っていた。  


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2007年11月07日

冷蔵庫で腐らせる

食欲の秋!
美味しいものをいっぱい食べて、寒い冬に向かって、脂肪を貯めこんでいませんか?

昨日の毎日新聞に、高齢者ほど冷蔵庫に食品を詰め込んで腐らせている! と言う記事が載っていて、興味深く読んだ。face01

9割以上の人が冷蔵庫の奥に何が入っているのか、覚えておらず、賞味期限を2、3年超えた肉や魚、野菜室の一番下にはどろどろにとけた緑色の物体が入ったままで、卵は腐り悪臭を放っているような家庭もあるとか…face09

消費者は赤福吉兆を、ヒステリックに非難できませんね。face07

「冷蔵庫で食品を腐らす日本人」(朝日新書)を書いた、食文化研究家の魚柄仁之助(うおつか・じんのすけ)の調査結果なのですが、この人、大学で農業を学び、古道具店などを経営後、無駄のない健康的な食生活を自ら実践、提案しているらしい。

ただ、顔写真が載っていたんだけど、髭づらに長髪で、ホームレスのおっさん風な貧相な顔立ちで、「食」と言うデリケートな記事には、似つかわしくない風貌だった。

毎日新聞もどうして、もっとマシな写真を使わなかったのか?
とても不思議です。face08  


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2007年11月05日

静かな東京を返せ!

3日に封切られた「ALWAYS 続・三丁目の夕日」ご覧になりましたか?

いきなりゴジラが出現して、東京の街をメチャクチャに破壊し、堤真一の頭髪が、おもいっきり逆毛立つと言う導入で、SFXCG合成を駆使した、山崎監督のギミック攻撃から始まった映画でした。face08

こうした続編は、どうしても初回作を上回る期待をされる。
内容的にはあまりに情緒的過ぎて、安心して観てはいられるけど、その先の落ちどころが見えてしまって…face07

某TV局が絡んでいるので、興行的には成功の域に入ると思うけど、一作目は超えられなかった感じです。
私の左後ろのオジサンは、途中から大いびきかいてうるさいし、右前の女子高生集団は、グジュグジュと鼻水すする音を発生させるし…face10

それにしても昭和30年代の東京は、あんなにも長閑で、ゆったりと時間が流れていたんだなぁ…と改めて思った。

ふるさと納税」が話題になった時、某新聞の掲示板で、
今のようなゴチャゴチャした騒々しいだけの東京にしたのは、地方から出て来た田舎者たちだっ!
オリンピック前のゆったりした静かな東京を返せっ!
って書き込みがあったけど、江戸っ子のこの怒りは尤もです。face07  


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2007年11月02日

ニュースは生き物

昨夜NHKを観ていたら、高遠本の家が紹介され、月影の大塚さんがアップで出ていた。
あれぇ~?
日曜日に訪ねた時の話では、金曜日の今夜、オンエアって聞いたけど…face08

当然のことだけど、ニュースは生き物だから変更されるんですね。

最初は珍しがられて、たくさんの取材を受けるけど、それらが一段落してからが本当の勝負とか…
わかっていらっしゃる!face06

地元作家の陶芸店に勤めている友人によれば、地域情報誌のNaoなどに掲載されても、効果が期待できるのは、スイーツなどのケーキ屋さんか、レストラン・居酒屋などの飲食店関係だけらしい。face07

ウーン! やはり広く薄くの大衆向けとなると、そういったお手軽な食べ物系列にいってしまうわけですね。

村上龍もブログなどで簡単にアクセス数を取ろうと思えば、大衆迎合主義のポピュリズムの話題を追っていけば、そこそこの数はすぐに行く。
だけど、そうやって本当に大切なことから、どんどんどんどん、離れていってしまうって、嘆いていたなぁ…  


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2007年11月01日

迫力のリアリティ!

田中森一著「反転・闇社会の守護神と呼ばれて」(幻冬舎)
★5つ超でお勧めします!

理屈ぬきの迫力の筆致に、次々と活字を追って一気に読ませます。

長崎県平戸の貧しい漁村に生まれ、極貧の少年時代を送った筆者・田中森一は苦学(すっかり死語)して、岡山大学法文学部に進み、在学中に司法試験に合格する。

検察庁に入り、現場たたき上げの鬼検事として、多くの疑獄事件を立件し、特捜のエースとなるも、権力組織の限界を感じ、弁護士に転ずる。

そして、バブル経済の真っ只中で、多くの闇社会の人間たちの弁護人となり、見たこともないような高額な報酬を手にし、検察と相対する。
その方法は、法曹界に身を置く人間とは思えないような、あの手この手で法の網をかいくぐり、まるで、古巣の検察に復讐するかのような辣腕ぶりで、被告人がヤクザだろうが、仕手筋の人間だろうが、読んでいて痛快にすらなってくる。

多くの政治家・経済界要人・芸能人などが実名で出て、アングラマネーにたかった者、そのおこぼれにあずかろうとした者など、金を目の当たりにした人間の、本性や性が実にリアルに表現されていて飽きさせない。

検事や弁護士などはロジカルシンキングの代表的職業で、立件の取り調べも理詰めで攻めまくると思いきや、嫉妬、僻み、怒り、悲しみなどの人間的感情が露わになる。
腹を据えての、被告人との真剣ガチンコ勝負はド迫力です。

貧しい生い立ちと、そこから這い上がろうと苦労した人間・田中森一の温かさと優しさは、反面、弱さだったのかも知れない。
そして、この優しさと弱さゆえに、自身が被告人と言う立場に落ちてしまったような気がする。

正義って何だ? 真実はどこにあるんだ? と言うことを考えるには是非読んで欲しい一冊です。
  


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