2008年12月26日

秋葉街道和田宿

秋葉街道の宿場町として栄えた、遠山郷和田宿にある、星野屋は山肉料理(ジビエ)、特に牡丹肉で有名です。
店内には冷凍の猪鍋セットが、手ごろな価格で販売されています。



座敷もあるので予約すれば、珍しい限定コース料理も食すことができます。
店の地下には猪、鹿、狸、熊などの、地元で捕獲された動物の剥製が展示されていて、ご主人から山肉や、和田宿の歴史・変遷など楽しい話を聴くことができます。









ご主人の話しによれば、和田宿が最盛期の頃は、人口6,000人(今は1,900人足らず)で、キャバレー、喫茶店、映画館、パチンコ屋などの娯楽施設も数多くあったそうです。
主な産業は林業で、一山売れば5年は遊んで暮らせたとか…
往時の羽振りの良さがうかがえる話です。

昭和の和田宿という、レトロで素敵なポスターがあったので、戴いてきました。
リードには…
商いのまち、職人のまち…
和田という宿場町は、様々な職種と、それを担う職人たちによって、形成されてきました。
歩いて回ることのできる限られた範囲に、人々の生活に必要な技術を持った職業の店、職人たちがそろっていて、遠山の人々は、地形的に閉ざされた環境にあっても、谷の外に頼ることなく生きていくことができました。

とあります。
この大不況の師走日本。
極東の島国でも外需に頼ることなく、生きていけるように立て直さないと…
店内には親しかった、喬木村出身の椋鳩十の直筆も展示されていました。


  


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2008年12月20日

神に近づく!

神様王国遠山郷の霜月祭
南信濃地区で8社。上村地区で4社の合わせて12の神社で日程をずらしながら、一ヶ月近く行われる霜月祭。
その由来や歴史・内容については、程野地区にある「山村ふるさと保存館ねぎや」にある、「信州上村霜月祭」(昭和46年初版/1冊300円)の小冊子に詳しく書かれています。



まず、下栗の「拾五社大明神」を見学。2基の竃の周りを烏帽子を被り、白装束に身を包んだ氏子たちが、剣や鈴を持って唄ったり、呪文のようなものを唱えながら踊っていた。
朝の8時から翌朝の5時ごろまで、さまざまな神事とともに、神聖な舞が奉納される。
私たちは天王の湯と言う舞を見学させていただいた。
途中、周りの見物人から「雲までのぼぉ~れっ!」と言う、リズミカルな合いの手が入るのが、高地の下栗らしく気分が良い。

夕食後は和田の「諏訪神社」を見学。
別室で、神主さん(禰宜(ねぎ)様と呼ばれていた)から、祭りについての、見どころや歴史など簡単なレクチャーを受ける。
御神酒と美味しいけんちん汁のおもてなしまで、受けてしまい恐縮するばかりです。



霜月祭と言えば、各神社に伝わる面をつけての湯立て神楽がメインイベントで、煮えたぎった湯を素手で切りながら、周りの見物人にかける湯きりが有名です。
この湯を浴びることで、一年間の邪悪を祓い、新たな気持ちで新年を迎えると言うことに尽きるらしい。



太鼓が鳴り響く中、大勢の氏子が竃の周りで、日本中の300以上の神社の八百万の神々の名前を読み上げ、呼び寄せる儀式が続く。
神社の屋根の煙だしを目印に、日本中の神さまが大集合するらしい。
そして、面をつけた氏子がそれぞれの神になりきって、竃の周りを身体を前後に大きくそらしながら、余裕のある者は、見物人に面を見せながら3回ほど周る。
子どもだって神さまになります。



湯きりをするのは、限られた面をつけた者だが、どの面の神さまが湯きりをするか、地元の人は分かっていて、「しっかりやれよぉ~!」とか「もっと、もっとやれぇ~!」などのかけ声が飛び交う。
演者も心得たもので、掛け声に惑わされることなく、湯きりのそぶりを見せたり、仁王立ちになったりと、フェイントをかける。
こうしたやり取りと言うか、かけ引きが見ていてとても面白く、気分を高揚させる。
しかし、なんと言ってもこの場の主導権を握っているのは、やはり神さま。
そして、飯田市長さんも神さまになります。



みんな、御神酒もたっぷり入っているし、お腹に響く太鼓の音で、神社全体が神に護られたような神聖な雰囲気に酔ってしまう。
宮崎アニメの「千と千尋の神隠し」の、ヒントになったと言うことだが、それも大いに頷けます。
最後の湯切りをする「秋葉さま」暴れん坊な神さまです。



過酷な自然と向かい合いながら、質素で素朴な暮らしを営んできた地域だけに、神々を畏れ、神々に感謝することで、一日一日、一年一年を大切に、身の丈にあった暮らしをして生きてきたと思う。
村上龍は「昔はよかったは大うそです!」と言うが、日本の原風景と言われる所以だと思った。
最後には大根に酒かすをまぶした物を捧げ、もうご馳走はありませんよと、神さまにお引取り願うとか…



程野の正八幡宮の竃は、また違った形をしていました。


  


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2008年12月15日

日本のチロル

県YH協会のイベント「遠山霜月祭に行こう」の一日目。
集合場所のJR市田駅から喬木村に出て、多分、完成することはないと思う、三遠南信道の矢筈トンネルを抜け、細く曲がりくねった道を走り、南信濃村や上村(いずれも、現在は飯田市)の、遠山郷と言われる地域に入る。

手をのばせば届くような山々が、目の前に迫ってくる深い谷間で、30度以上はあると思われる急傾斜地に、へばりつくように家々が点在し、日本のチロルと呼ばれる下栗地区へ行く。
師走とは思えない穏やかで暖かい絶好の日和で、遠くに雪を頂いた南アルプス連邦の聖岳・兎岳などの主峰を望み、日本の原風景と賞賛される大パノラマを楽しむ。

地元の人は、この足が竦みそうなくらいの急傾斜地で、お茶や芋、豆などを栽培していると言う。
大地を耕して天空に到る」と言われる所だそうだ。

下見に来たまほろばYHのSさんが、畑にいた人に「坂ばかりで大変でしょう!」と声をかけたら、
「なぁ~に、家に入れば平らだから!」と返事が戻ってきたとか…
蓋し名言です。




  


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2008年12月11日

もう一つ、入りこめません

慌しい師走に「西の魔女が死んだ」と言う、謎めいたタイトルの映画会。
12年ほど前に発表された小説を映画化したもの。

ワイルドベリーのジャムのように、甘酸っぱく、優しい自然に恵まれた田舎に住む、イギリス人のおばあちゃま(おばあちゃんでも、ばあばでも、まして、ばあさんではないっ!)と、ガラスのように繊細で傷つきやすい心の孫娘との生活を描いた作品。

詩とメルヘンに出てくるようなロマンチックで、憧れの田舎暮らしでロハスな毎日と、どこかの不動産屋のキャッチコピーのような日常が、少女の眼をとおして描かれる。
そこへ、おばあちゃまの家系は魔女の血筋かも知れないと言う、現代っ子なら飛びつきそうな、ファンタジー的夢見る現実打開策が盛りこまれる。
はたして、ガラス細工の少女は心は、何もかもお見通しで、魔女の力を信じるおばあちゃまの愛と、あふれる自然の力で、鉄細工の心に成長できるのか…

遥か遠い昔に読んだ少女小説のような、美しい映像が流されるのだけど、こちらが歳を重ねているせいか、今ひとつ、入りこめない映画だったなぁ…


  


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