2008年02月05日

最後の砦

河合香織『誘拐逃避行 少女沖縄「連れ去り」事件』新潮社
2004年に沖縄で起きた、47歳の男による10歳の少女の、未成年者誘拐事件の真相を追ったルポです。

著者は保護された少女が「家には帰りたくない!」と言い、実際自宅のある千葉県の児童相談所に一時保護されたことから、この事件に興味を抱く。

親子ほどの歳の差のある男と女がなぜ、遠く離れた沖縄に居たのか?
そして二人はいったい、何を捜し求めていたのか?
著者は根気よく関係者に取材を重ね、事件の核心に迫っていく。

この手の事件は興味本位のワイドショーや、下世話な週刊誌には恰好のネタ話ですが、先入観を排除して、事実を淡々と客観的に見つめ、完成度の高いルポになっていると思う。

両親から見捨てられ、祖父母と叔父の住む家で育てられた、年端もいかない少女…
家人から虐待を受けたり、窃盗行為や虚言癖もあり、問題行動も多かった。
そして、47歳で二度の離婚暦のある、風采のあがらない無職の男…

二人に共通するのは、弱肉強食の現代社会で生きていくため、最後の砦となるべき「家庭」「家族」がなかった…と言うことだ。

孤独な二人は一緒に過ごすことで、お互いの寂しさを埋めていた。
しかし、所詮それはその場しのぎであって、決して問題の根本的解決にはならない。
多分そのことを、二人は十分わかっていたはずだ。

どんな人も常に、自分の存在意義を問いかけ、悩んでいる。
そんな時、唯一自分を無条件に受け入れてくれる場所が、「家庭」であり「家族」であると思う。
昨今の悲惨な事件を見ても、今の社会は最後の砦と言うべき「家庭」「家族」が崩壊しているように思う。最後の砦



Posted by mahora at 11:29│Comments(0)
 
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