2008年04月09日

超大国の懐

NYのワシントンスクエア公園で、猫の絵を描いている、独りの年老いたホームレス。
そのジミー・ツトム・ミリキタニの、数奇な運命を描いた、ドキュメンタリー映画「ミリキタニの猫」。
昨夜は会員を増やすため、一般公開したせいか、いつもの例会よりは、多く入っていたような気がした。

第2次大戦中に、日系人強制収容所へ入れられ、市民権を剥奪された事や、故郷・広島への原爆投下などから、彼の合衆国への嫌悪感と不信感は強く、反戦への信念を貫くベースとなる。

彼を撮り続ける監督の、リンダ・ハッテンドーフとの距離が、少しずつ近くなり、警戒心で固かった表情が、徐々に柔らかく、穏やかになっていく。

ラストはカリフォルニアの、ツールレーク収容所跡地を訪れ、辛い過去と向き合うことで、合衆国への気持ちに変化が現れる。
離れ離れになっていた姉との60年ぶりの再会を果したり、市民権回復で、ケア付き老人ホームに入居できたり、ささやかな幸せに包まれる。

私が感心したのは、ツールレークの強制収容所をきちんと保存し、過去の歴史の誤りを素直に認め、後世に伝えようとしている合衆国の姿勢だ。
何だかんだ言っても、広大な国土に多くの移民を受け入れ、民主主義を根づかせ、未来に向かって進む、超大国の懐の深さを見せつけられた映画だった。超大国の懐



Posted by mahora at 14:39│Comments(0)
 
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