2008年02月04日

絶望男、希望を語る

不登校・ニート・引きこもりなど、現代社会の中で生きづらさを抱え、苦悩する多くの若者たち…。
そんな若者たちが、自分の好きなことで自立し、社会の中で居場所を確保できることを支援する組織・NPO法人コトバノアトリエ。

代表の山本繁は多くの賛同企業や団体・個人の援助で、次々とプロジェクトを立ち上げ、結果を出し続けている。
その中の一つ「神保町小説アカデミー」から誕生した白井勝美の「絶望男」サンクチュアリ出版。

聴覚障がい者でアル中の父親と、半身と左手が不自由で、新興宗教にはまった母親と言う家庭環境で育ち、貧困によるいじめ・不登校・リストカット・自殺未遂・うつ病・ひきこもり・家庭内暴力・薬物中毒・精神障がい……
まるで、この世の理不尽と不条理の掃き溜めのように、不幸と哀しみのすべてを引きうけた46歳、ニート、障がい者自身が綴った生きざまの記録本です。

正直、読んでいて、とても息苦しくなります。
決して楽しい本ではありません。
どうしてだろうか?

それは、この白井勝美の歩んだ人生はレアなケースではなく、いつ誰にでも起こりえることだからです。
これを所詮、コミュニケーション能力の低い、社会からはじき出されたハグレ者の戯言と、他人事のように言い切れる人はかなりのノー天気です。

でも、苦しい現実から逃げず、絶望の中にあっても必死に叫び続け、求め続け、動き続け、生き続ける筆者。
そして、自らの存在自体が、希望そのものに変わっていく。

「すべての若者が、家庭の経済力に関係なく、就きたい仕事に就くための教育を受けられる社会の実現」
これはコトバノアトリエのミッションです。

でもよく考えれば、これって、わずか30歳そこそこの若者が代表を務める団体組織がやることではなく、本来、国がやるべきことですよ。  


Posted by mahora at 14:05Comments(0)