2007年05月30日

半島を出た!

村上龍の「半島を出よ」を読み終えた。
やはり下巻は、臨場感溢れる筆致で一気に読ませます。

壮大なスケールに多くの登場人物と、それぞれが抱える複雑な背景と心理描写。
それらを時系列で追いながら、頭の中で立体的に組み立てながら、読み進めないとかなり混乱します。
読むのにこんなに集中力を要求される小説も珍しいです。

それが作者の狙いとすれば、かなりの構成力で、読者を引き込むいい意味での売れる小説の見本で、間違いなく村上龍の代表作です。

400字詰め原稿用紙1650枚の大作で、脱稿したあとしばらくは、頭も身体も空っぽにして、何もする気になれなかった…と作者が言っているように、読み終えた私も、しばらくは重い小説には手が伸びそうにない感じ……
ただこの脱力感は、心地よい爽やかな脱力感で、次に繋がります。

昨今の世界情勢などを考えると、単なる小説とは思えないかなりの現実感があり、決してありえない話しではないぁ…と思わせます。
Amazonのカスタマレビューで上下巻合わせて200件近い書き込みがあります。

☆5つでお勧めします。  


Posted by mahora at 17:03Comments(0)